6章立ての出だしは、他の本でも登場する温暖化の報告。それより先からがだんだんNewtonらしくなってくる。徹底してビジュアルでわかりやすく、そして、あらゆる視点から科学的に説明する。表やグラフも豊富で見やすい。
太陽から受けるエネルギーの変化を地球の公転軌道の変化などから示したミランコビッチ・サイクルの話は興味深かった。また、過去の地球の気温の変化はどうやって調べているのか、温暖化予測のために利用されるスーパー・コンピュータのモデルの説明、地球工学という学問での研究内容、温度変化別のシュミレーション結果の説明、CO2削減に貢献すると思われるものの科学的な考察、石油資源の枯渇状況と見通しなどもある。さらには「バイオ燃料とは何か」という詳しい説明もある。この石油の枯渇状況の説明とバイオ燃料に関する説明は、温暖化ということとは切り離しても読む価値がある。
IPCCの温暖化予測に対しては反論もある。それに対しての、温暖化の代表的な研究者であるスティーブン・シュナイダー博士のインタビューでの反論は鋭い。特に、「false positive」 と「false negative」の考え方を持ち出しての説明は興味深かった。
(レビュー日:2008-10-21)
地球温暖化に関しては様々な議論がなされていて、本書のような内容の
ものから反論本まで多くの本が出版されている。その中の何冊かを読んで
みて思ったのは、反論系の本のほとんどが巧妙に論点をずらすなどしてあ
まり知識のない読者を(汚い言葉で言えば)惑わして同調させるような内容
になっているように感じられた。
温暖化についていかなる意見を持つにしてもその前に現在広く認められ
ているであろう考えを理解して標準的な知識を得ておく必要があり、それ
に役立つのが本書であると思う。少なくともこれを読んでおけば安易なエ
コブームに踊らされることも無責任な反論本に「救われる」こともあまりなく
なるのではと思う。
もちろん他のどの本とも同じで本書で語られることが完全な真実ばかり
でないこと、語られていない真実があることも忘れてはならないが。
これまでに得られた事実とコンピュータによる試算を読者が信じるかは
別として、個人的に言わせてもらえば今まで読んだどの本よりも論理の裏
付けが強固で説得力があるものだった。
例えば温暖化は人為的か否かの問。たいがいの本では二者択一の乱暴な
論理に終わるところを自然と人類の寄与する割合を具体的な数値で示して
いる点は、もちろん完全な予測など不可能であるにしても信用できるもの
と思えた。
効果が疑問視されている京都議定書やバイオ燃料についてマイナス面が
書かれていないのは残念だが、それを入れても温暖化に関する基礎知識を
得る上で優れた本だと言える。他書にあたるのはこの後でも遅くはない。
(レビュー日:2008-06-19)