井野朋也(ベルク店長)
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(ISBN : 4860202775, 2008-07-04)
やはり王道はなし
「個人店が生き残るためには」という副題に惹かれて通読しました。飲食店を成功させるためのノウハウを知りたくて。結論からいうと、この店の店長は凄いということですね。店長だけが凄いわけではないのだけれど、やはりリーダーたるものが普通の人ではだめだなあ、と。人一倍行動力がないと、維持していくことは難しいようですね。
また、この店は超一等地にあるため、この店のノウハウは、他の店ではほとんど応用できないでしょう。しかし、そのマインドを、店を高めていく情熱を受け継ぐことができれば、何とかなるかなあ、と。どんな業界でもそうなのでしょうが、やはり人との出会いも大事だなあ、と。ここに書かれていることは正論なのですが、実践していくには相当の覚悟と労力が必要ですね。当たり前のことを着実にこなしていく。それを実践し続けてやっと結果がでる。やはり王道はないのですね。
(レビュー日:2008-11-09)
なぜ「新宿駅東口」なのか
青春時代、自分の居場所を探して、新宿の無方向性に身をゆだねてさまよっていたというベルク井野店長。放浪の果てに出会ったのが、詩人であった父の代からずっと「そこ」、「新宿駅東口改札横」にあった「ベルク」だったという。
おそらく、他の場所でもそれなりに魅力的な店の経営を成功させるだけの充分な力のある方なのだろうが、巨大資本と闘いながらも、この場所にこだわり続けるのは、「そこ」が、ただの「場所」ではなく、井野店長にとって、自らのアイデンティティとも言うべき「場」だからではないだろうか。
自らの存在を否定しようとするものに対しての闘い・・・
だとすれば、この闘いは、決して他人事ではないのだ。
店に入って感じる、ひとつひとつの魅力が、たくさんのこだわりと心意気に支えられていることに納得のベルク物語。
「何もせず、ぼーっと見ているときの方が木樽の中のワインのように熟成されていく。
一見無駄に思えるものが、じつは一番大事、ぜいたくな時間。」と、井野店長。
経営を目指す人のみならず、生き難い時代を生きる若者の心にも、まっすぐに届く熱い言葉が語られている渾身の一冊。「新宿駅東口」の今が見えてくる。
(レビュー日:2008-11-07)
ベルク先生! ありがとう!
「お金で買えないものを人は求める」
馴染みのあることばですが、
では「お金で買えないもの」っていったい何だろう?
答えとして「夢・愛」などが返ってくることが多いのですが、
形がなく曖昧で、私などは雲に乗るような気分になってしまうことがあります。
でも本書を読んでこう感じました。
「人はベルクを求める」と。
ずっとずっと情熱をかけられるもの、
情熱を継続できる具体的な物が欲しいんじゃないでしょうか。
「夢・愛」等とは違って、
ベルクはお店として新宿に存在しますから、
具体的な形として目に見えます。
ベルク店主ご自身が執筆された本書は
情熱をもって生きる、多くの人の胸に響くのではないでしょうか。
または情熱をかけたい「何か」を模索中の人にも振動があるのでは?
本書はエネルギーの凝縮です。
ベルクという小さなお店を切り盛りしてきた著者の切磋琢磨が
難しくない言葉で読者へ語りかけられます。
口語体なので、読みやすく親しみやすいですね。
まるで「ベルク先生」という感じ。
ふだん本を読まない非読書家の私でさえも、2時間程度で読了しました。
ただし2日間に分けて、一日1時間ずつになりましたが、
途中で本を閉じるのが惜しかったほど!
ベルク・ビートと言えばいいでしょうか、
ベルク店内に渦巻いているアップ・テンポなリズムに乗って、終始快調に
ベルク・スタッフが展開してきたアイデアと足跡が惜し気もなく披露されますから、
著者の「哲学ともいえる姿勢」に共感を覚える人は少なくないはずです。
当然、私もその一人です。
が、「ベルクというお店自体」の魅力は1冊に納まりきれません。
本書はベルクにもっとも近しい方の足跡を充分に伝えてくれる極上の1冊ですが、
言葉では追い付かないエネルギーがベルクには満ちていますし、
ほっぺたが落ちてしまうほどのベルクの美味しいメニューの数々は、
言葉では、とうてい表現しきれない「味覚」なんですよね。
だいいち、ベルクのエネルギーや
お店に渦巻くベルク・ビートは「夢・愛」と同じように無形のもの、
ベルクへ行ったことのない方々には伝わりにくい気がします。
「ベルクへ行ってみて!」と切実に思うのですが、
遠方の方にはなかなか難しいですし、
そこで。ぜひ! ベルクの本・第2弾を作ってください。
たとえば、副店長であり写真家の迫川尚子氏によるベルクのメニュー写真なんて、
想像しただけでも、ああ、ヨダレが・・・!
本書に大感激した私ですが、
必ず誕生するであろう続・ベルクの本に期待を込めて、
あえて星4つとしました。
1冊におとなしく納まる方が不思議なんですよ、
ベルクって、そんな小さな新宿駅最後の「魅力ある個人店」なんです。
(レビュー日:2008-10-02)
こんなお店に行きたい
個人経営の喫茶店というのはビジネスモデルとして、とっくに淘汰され、廃れてしまったと思っていましたが、本書を読んで、こんなにも元気な喫茶店(と言うよりもバー?)が新宿に生き残っていたのかと大いに驚きました。
たかだか一杯のコーヒーのためにここまで真剣になれる店員さんがいるという事、そしてお客はそれを分かっているからこそ、足繁く通ってくれると言う事実。一事が万事、お店のハートがが伝わる商品、サービスを提供する事を貫き続け、現在のような繁盛につながっている点に感動します。このようなスタイルの経営は大手のチェーン店では出来るわけが無く、これこそが個人経営のお店が生き残る方法なのだと分かります。
こういうお店はまだまだあるはずですし、是非見つけてみたいと思いました。
(レビュー日:2008-09-13)
生活の楽しみ
新宿駅の中にある“早い、安い、うまい”がモットーのカフェ、ベルク。
その舞台裏を覗いてみたいという好奇心で読んでみた。
喫茶店として始まり、いわばその家業を継いだ形ながら
まったく新しい顔に作り替えた現店長さんの語る
(スタッフは)食べたり飲んだりする楽しみが、生活のなかに溶け込んでいる。
私たち自身がしょっちゅうベルクを利用します。
仕事が遊びであり、遊びが仕事であるなら、無駄なことはけっして無駄ではなくなりますし、あらゆることが知らず知らずのうちに反応し合い、結び付き合い、熟成されていきます。
などの言葉からは
商売というもの、やや大げさに言えば仕事と人生、の楽しみというものを
考えさせられた。
(レビュー日:2008-08-24)