昔は「嘘つきはドロボーのはじまり」と言ったものだが、「ドロボー」は「警察」だと多くの人が知るようになって久しい。
警官個人でなく、組織として犯罪集団であるのだから、自浄作用なんか望むべくもなく、情報公開によって市民が正すしかないのだが、「捜査の秘密」と、都合の悪い部分を開示しないのだからタチが悪い。
それを、逮捕の危機もものともせず、現職ながら内部告発を行った、国民栄誉賞ばりの仙波氏の戦いの記録。
宮城の浅野知事が現職時、捜査報償費の開示を迫っても県警は出さず、知事は報償費の予算をつけなかったのだが、愛媛では、知事・議会・監査・人事委と県全てが、それを隠そうとし、裁判所が内部告発に基づく報復人事と認定した、拳銃の取り上げや、仙波氏用に新設した通信司令室内の一人職場への配置転換なども認めず、敗訴後も控訴に及んでいる。
この裏金作りは全国的であるが、マスコミは警察に気兼ねして、大々的にも全国的にも報道しない。 TVでは、『警察24時』ではなく、『国・自治体ぐるみの裏金列島』でも放映すべきであろう。
組織相手に一人で戦うことは、言葉では言い表せない痛みや苦しみがあろう。 それが具体的に沢山書かれているわけではないが、読者も怒りと共に勇気ももらえる本である。
34年間も「正義の人」であり続けた氏であるからこそ、県警も同じく現職で調査活動費なる裏金を記者会見しようとして瑣末な事件(セカンドハウスの不動産取得税を減免させた、罰金程度の罪)で逮捕された大阪高検の三井環氏のように足許を救えなかったのだろう。
本文だけでなく、巻末の判決諭旨でもそれが読み取れる。
高裁でひっくり返さないよう、(数少ない)まともな判事がつけばいいのだが・・・
警察関係では、取締りを逃れる系の本をよく見かけるが、本屋さんにはこちらを是非平積みでドドンと置いて欲しいものだ。
『仙波さんを支える会』HP連載の書籍化であるが、重複する内容が散見されたので、そちらを修正してくれてたら更に良かった。
(レビュー日:2008-08-28)