今回の金融危機を収めるためには、アメリカの不良債権額を確定させる
ことが不可欠と金子さんは説く。
なぜならば、不良債権の金額が確定しなければ、いくら公的資金を
投入しても、世の人々の金融機関への信用は戻らないからである。
今回の、金融危機への対処が難しいのは、アメリカの”投資銀行ビジネスモデル”
の暴走が、不良債権額の確定を困難にしているからだ。
金融工学を駆使し、あまりに複雑な証券化を進めたためになかなか、損失額を
確定ですことができない。
おまけに、銀行や投資銀行の下には、連結決算対象外のヘッジファンドや
SIV(投資専門のための会社)が、無数にあり、膨大なハイリスクの証券取引を
行っている。
これらの存在は、連結決算対象外であるため、高度な”飛ばし”が膨大にあると
いうことである。
これら”闇の銀行システム”とも言うべきものたちが、現在、資金ショートを
起こし崩壊の危機に直面しているのだ。
FRBによれば、”影の銀行システム”の規模は10兆ドル規模に及ぶと言うが
本当の規模や闇の深さは誰にもわからないし、それらに手をつけたとき、経済や
金融が一体どのようになるのかは想像の世界でしかないのが現状だ。
今、世界中で、金融危機への対応を必死で行っているが、私はもう手遅れで
既に、恐慌状態に突入してしまったと思う。
地震であれ、ハリケーンであれ、起こるものは起こる(今回のことは人災だが)
たとえ、80年前のような大恐慌が来たとしても、それはそれとして、覚悟を
固めて生きて行くしかない。今は、その人その人の”覚悟”が問われている
時だと思う。
なお、本書の理解をより深めるためには、ソロス著「ソロスは警告する」副島隆彦著「恐慌前夜」、竹森俊平著「資本主義は嫌いですかーそれでもマネーは世界を動かす」、ラビ・バトラ著「2010年資本主義大爆裂 近未来10の予測」、藤原直哉著「2009年世界大恐慌」及び船井幸雄著「2009年資本主義大崩壊」が参考になると思われる。
上記のいずれの本にもレビューを書かせていただいたので
ご一読いただければ幸いである。
(レビュー日:2008-10-14)