外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書) [新書]

外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か (岩波新書)
岩波書店 岩波書店 / 白井 恭弘

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¥ 735 (ISBN : 4004311500, 2008-09-19)
(EAN/JAN : 9784004311508, 2008-09-19)

セールスランク : 587位

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外国語学習への科学的アプローチ

 「外国語を身につける」という現象を科学的に解明し、効率的な外国語学習の方法を導き出すことを課題とする学問分野が「第二言語習得論」ということです。その研究の最新の成果を、一般向けに、興味深い具体例を使いながら読者に語りかけるように、読みやすく紹介しているのが本書です。複雑な内容をわかりやすく説明しようという著者の真摯な気持ちが伝わってきます。

 外国語学習者にとっては、その学習方法についての納得のいく裏づけを得ることができ、また外国語教育を志す人にとっては、信頼できる入門書として必読といっても過言ではないでしょう。前著の「外国語学習に成功する人、しない人」は、すでに大学の教科書として好評を得て、版を重ねているということです。

 ただし、読めばすぐペラペラになるとか、TOEICの点が上がるとか、手っ取り早く目新しい学習方法を求める読者には、期待はずれとなるかもしれません。
(レビュー日:2008-12-29)

外国語の勉強の指針に

これから何か外国語を学ぼうとする人にとっては
学習方法の違いによる効果がわかるこの本は実用的な1冊になると思います

外国語の学習に関して言語学だけでなく
心理学や脳科学などの面からも研究している著者が
おもにアメリカで発表されている、さまざまな研究結果をわかりやすくまとめた本です

母国語と外国語の構造的な違いと習得難易度(最低学習時間の目安)
母国語は習得できるのに外国語の習得が難しいのはなぜか(年齢と学習臨界期)
どんなタイプの人間が外国語を習得しやすいか(外国語習得障害など)
文法や和訳と発話やコミュニュケーションのどちらが重要かといった
さまざまな研究結果をわかり易く解説しています
なかにはアルコールと学習効果の関係などという変わった話もあります

少々残念なのは効率のよい勉強の仕方について
あまりページをかけていないことでしょうか
この本をに限らず他の本でも外国語学習は
潜在記憶に他言語を忍耐強く刷り込むしかないという結論が多い
私も含めそうした結論に至っている人は新しい学習法の発見を期待するのですが
さすがにそういったものはまだ確立されていないようです
(レビュー日:2008-12-27)

書いてあることに間違いはないが、新しいとは思わない


 著者はピッツバーグ大学言語学科教授。
 母語とは異なる言語を身につける、つまり副題にある第二言語習得論についてこれまでの研究の系譜をたどりながら、最終章では外国語を効果的に身につけるにはどうするのがよいかということを論じた岩波新書です。

 著者自身が「あとがき」で記すように、「教科書としての性格も備え」た書籍なので、一般読者向けというよりは言語学の研究分野に身を置く学生に向けた、少々内容の硬い本だといえます。
 「英語を少しでも速く確実に身につけるにはどうしたらよいのだろう」と焦燥感をもってのぞんだ実利的読者は、最終章に至るまでの本書の核ともいうべき第二言語習得の研究史の長い記述には、「いいから、早く最も効果的な学習法を教えてよ」とじりじりした思いにかられるのではないでしょうか。

 そしていよいよ最終第六章の「効果的な外国語学習法」ですが、意外と当たり前のことが書かれているので、肩透かしを食らう読者も多いと思います。
 自分の興味のある分野について論じた外国語文を読んだり聞いたりする。
 例文暗記をする。
 毎日少しずつでも外国語で書いたり話したりする。
 単語は文脈の中で覚える。
 発音は完璧でなくても構わないが、通じれば日本語なまりでも良いというように目標を低くしない。

 こうした事柄はすべてこれまで私も実践してきた事柄ばかりで、事実私は外国暮らしの経験もないままTOEIC940点を得るまでの英語力を身につけました。
 ですから本書を手にして新規に得(う)るところはありませんでした。

 書いてあることに間違いはなく、確かにそれを実践することが正しい外国語学習法ではあるのですが、一方で、ということは今後もこれ以外にもっと効果的な外国語学習法は出てきそうもないのだなという思いが残りました。

(レビュー日:2008-12-23)

原理主義的でないのがいい。

第二言語習得論について、(大学での)教科書ともなり得るように意図して書かれた本。本格的に学ぶには、講義などによる肉付けが必要だとしても、全体の見通しも良く、理解しやすい本だ。

しかし、それ以上に良い点は、著者が「第二言語習得論」原理主義に陥っていないことにあると思う。第二言語習得論は生まれてから年数が浅く、(どんな科学分野でもそうだろうが、)現時点で分かっていることよりも分かっていないことの方が遙かに多いことは想像に難くない。それにもかかわらず、「第二言語習得論に基づくと、外国語教育・学習はこうあるべきだ、そうでないものは邪道だ」と言わんばかりの本もある。

そういう本を読むと、専門家でない私としても、首をかしげざるを得ない部分があったので、本書の健全なバランス感覚には大いに肯くことができた。信用に値する本だと思う。
(レビュー日:2008-12-17)

第二言語習得論の諸アプローチが俯瞰でき、その成果を享受できる

母国語以外の「第二言語」習得のメカニズムについての諸研究がわかりやすく述べらている。
語り口も平易で非常に読みやすい。
 第二言語習得に関しては、さまざまな仮説に基づくたくさんのアプローチが提案されており、
研究成果が積み重ねられている。本書は、一般読者がそれを俯瞰することのできる、
貴重な一冊である。
 理論的な考え方とその実験結果がまとめられているが、実例の記述も豊富である。
たとえば 「小さいうちに外国に行けば、すべての子どもがいわゆるバイリンガルになれるわけではない」
という指摘は、言われてみれば当然のように感じるかも知れないが、ではどういう状態になってしまうのか、
現実にその実態を知らない者はショックを受けるかも知れない。
また私自身、米国で「Excuse us」という表現を聞いた時「ああ Excuse me の複数形バージョンか」と思い、
外国語習得のことに思いを巡らせたことがあるが、同じエピソードが紹介してあり、個人的にも納得できた。
 日本人が英語などの外国語を学ぶにあたり、どのようなアプローチをとれば効果的かを考えるとき、
本書でまとめられている研究成果に基づくことは有益である。
 また、今後は、外国人に日本語を教えるという場面も増えてくるだろう。そんなときにも、
本書はその指針を与えてくれる。
(レビュー日:2008-12-13)

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