綿貫陽先生をはじめ、編集者の顔ぶれは著名人ばかりである(マーク・ピーターセン先生も参加)。
Q & A 方式の小話(文法解説)は他の文法書にはあまり採用されていないので、一読の価値あり。
しかし、実際に使ってみると、ほしい情報が載っていなかったり、???と疑問に感じることも少なくない。
例えば、16章の「態」を見てみると、能動態と受動態について説明がされている。
そこには「受動態は堅い文章に用いられ、口語では稀」といったことが書かれているがここに疑問を感じる。
例えば「What happened to Tom? 」という疑問文の回答はどのようなものを想像するだろうか?
1. The dog bit him. (犬がトムにかみついた)
2. He was bitten by the dog. (トムが犬にかみつかれた)
上記のような2つの回答があった場合、おそらく話者は2を選択する可能性が高いと思われる。
2が優位になるのは情報構造 (Information Structure)によるものだが、本書の解説はそれを無視している。
つまり、本書は談話の中の文脈という点にあまり焦点を当てずに「受動態は会話では稀」と説明している。
本書は良い要素もたくさんある反面、理論が少し古いと感じることも少なくない。
よく売れている文法書であるが、内容を全て信じるのは少々危険である。
(レビュー日:2008-02-16)