吸血鬼ハンター20巻、最新刊です。
基本的にはこの吸血鬼ハンターDの物語は、貴族である吸血鬼たちに支配されている人間からの依頼を受け、吸血鬼ハンターのDが長剣を片手に吸血鬼貴族たちを退治するというのが大枠(たまに吸血鬼同士の戦いに巻き込まれたり、勝手に狙われたりはしますが)の話になります。狩るものと狩られるもの、どちらも普通の人間では相手にならない強さなのでいつも壮絶な殺し合いが始まります。
毎度毎度のことだし物語の構成上やむを得ないのですが、敵はとてつもなく強い魔神たちで、時にはDに勝るとも劣らない吸血鬼たちが、その吸血鬼としての力や想像を絶する科学の力でDの前に立ちふさがって来ました。
しかし、今回はどうにも勝手が違いました。
敵の吸血鬼たちも確かに強いのは強いのですが、Dとの力の差は歴然で、そもそもが今回の「不死者島」で研究を続けていた吸血鬼たちはかつて一度Dに滅ぼされていた者達なのです。完全に灰にされた彼らが、どうやら真祖の力を受けて復活したというのです。復活するにあたって、敵の公爵はパワーアップを果たしていますし、シリーズ初といってもいい左手がDの左手が活躍しない状況を生み出したりしますが、、けれど基本的にはそんな強敵との戦いよりもむしろDをとりまく人間や吸血鬼たちの愛憎劇が今回のポイントとなっています。例えば、敵の公爵夫人はDにぞっこんに惚れ込んでしまっているし、なにより周りの方に焦点がいっているので、主人公であるのにDが殆ど出ない!! という変わった構成なのです。
正直、あまりに勝手が違いすぎる、シリーズ異色作すぎて評価が定まりません。カタルシスという点であれば、そもそもの吸血鬼退治ものという観点からすると明らかにマイナス。終わったという達成感は薄いし、アクションシーンもやや薄め。視点が、この島に人々をさらわれた漁村の娘のメグを中心にしているので、展開もわりあいと地味。なんでしょう、明らかに菊地秀行氏はこの作品で何かをしようとしているのだろうし、最後の最後の数行も何かを考えてのことなんだろうけれど、、正直掴めません。
何かの伏線でないにしたら、唐突だし首をひねるラストだし、、、伏線にしたらまだまだ分からないところがあります。続きを読まないと評価の定まらない異色作です。なので単体としては残念ながら評価が低めです。
(レビュー日:2008-09-12)