私は小宮氏の作品を好んで読むが、その理由の一つが文体の親しみやすさである。
馴れ馴れしくもなく硬すぎもせず、また身近で分かり易いテーマからすこし専門的なテーマなど読者の関心を低下させない構成が、読書を楽しませてくれる。
(勿論、すべての作品がそうだとは言わないが)
さて、本書を読んだ感想だが、基礎的な考え方を知ることのできる良書だといえる。昨今の金融情勢などを踏まえ、我々がこのようなテーマの本を手にするときは、なにかしらのおまじない的な拠り所(行動指針)を求めたいという前提があることと思えるが、その欲求を本書は見事に満たしてくれる。
簡単なポイント紹介をすれば、本書の第一部「お金を知る技術」の前半は外部環境分析としてマクロ経済やリスクの見方・考え方をざっくりと説明、後半は内部環境分析として簡略版のキャッシュフロー表・ライフイベント表を用い、自身のライフプランを考えることの重要性を説いている。これだけでも実践できれば気付きや将来の目標などが明確化することだろう。
第二部「お金を殖やす技術」では、金利の説明、投信を中心とした金融商品の説明、バフェット氏や自身の経験を例にボトムアップアプローチの重要性などを説いている。
基本的な論点ばかりだが、改めて考えさせられる内容であり、特に第一部の老後資金の件では、はっとさせられた。
余裕ある老後を送るには月額38万円(夫婦二人)ほど必要とあったが、
38万円もの年金支給を受けようと思えば実に難しいものである。
例えば現行制度の基礎年金は月額で最大6万6千円(一人)で、残りを厚生年金で賄おうと思えば少なくとも世帯年収1500万円前後ないといけない計算になる。これは一般庶民になかなか難しい話である。最終的に自身の生活を守るためには自己責任の元で確定拠出年金の運用や貯蓄性の高い保険商品の活用、株や投信の活用などで確実に資産を殖やしておかなければならない。
私は老後までずいぶんと時間はあるが、危機感を感じたという意味でも有意義な本であった。
(さらに年をとり不安を感じるようになってからでは遅い)
金融リテラシーは若いうちに習得しておく必要があるが、この本はその第一歩を踏むにふさわしい本ではなかろうか。
(レビュー日:2009-01-02)