どうやったらこの一冊で終わるのか心配になるほど、物語は先へ先へと広がりを持って突き進んでいった。
もう後戻りはできない場所へと、主人公チャグムが連れ去られていく。
15歳の少年がたった一人で何ができるというのか。心の中で、バルサやタンダ、シュガやトロガイとの記憶だけを支えにして。
チャグムはまだ若い。彼は未熟である。純粋である。清廉である。潔癖である。そして、血肉の暖かさ、生命の重たさを知っている。チャグムの成長は著しいが、成長するほどに父に疎まれた皇太子という環境の厳しさが身にしみる。
その上、世界は百年に一度の大きな変化のときを迎えようとしており、チャグムを放っておいてくれはしないのだ。
物語の中では、いよいよタルシュ帝国が姿を表す。新ヨゴ皇国の先祖の国であるヨゴ枝国とともに。
目が離せない物語展開であると同時に、チャグムをめぐる運命の苛烈さと、それでも決して膝を屈さぬチャグムの懸命さに、胸を打たれた。
チャグムが飛び込んだ次の舞台、この先の物語が待ち遠しい。チャグムの活躍よりも、この子が最後には幸せになってほしいと願わずにいられない。
(レビュー日:2008-11-09)