さて。この本には、表題作「純情ロマンチカ」以下、「純情テロリスト」・「純情エゴイスト(今回はおまけ的ミニ漫画という感じ)」の3編が収録されています。
7冊目となれば、いい加減マンネリ化しそうですが、いやはや、衰えぬパワーを感じます。
今回、やられたのは「純情テロリスト」(悩める大学教授宮城×ツンデレ王子忍 の年の差愛)
純情シリーズではカップルのどちらかに過去の悲恋の経験があるのですが、テロリストでは宮城の過去の悲恋というモチーフにかなり重点が置かれています。
「テロリスト」で描かれる悲恋も他2作に負けず劣らず、かなり切ない。
しかし、他2作以上に、過去の悲恋が昇華し、新しい恋へと生まれ変わる様が実に丁寧に細やかに描かれ、深い感動と余韻が残ります。
キャラクターも素敵です。一見、ノリが軽いようでいて、実は真面目な常識家の大人であるが故に悩む宮城も勿論魅力的ですが、一見、生意気で強引で我儘な忍の、本当は必死で宮城との心の距離を縮めるために必死な姿には胸をわしづかみにされます。
また、宮城の悲恋の相手に対する忍の姿勢も本当にいいんですよ。忍は宮城に比べると、人生経験も心理的余裕も足りず、宮城への愛情以外はほぼ持ち合わせていないといっていい「子供」ですが、相手の過去を受け入れる寛容性と、前へと前進する勇気を持っています。
そんな忍だからこそ、「子供」でありながら、「大人」である宮城の本気を引き出せたのだと思います。
またシリーズの中で、唯一の攻め視点であるテロリストでは、恋の相手である忍とは「同性」であり、「17歳年上」であり、「教育者」であり、「元嫁の弟」である、と四重苦を背負った宮城の悩める姿が、BLの中ではあまり描かれることのない、物語に「現実感」という重みをしっかり与えているので、そこも私はお気に入りです。
BLというジャンルだからこそ生まれた作品なんですが、BLというジャンルでなければ、もっと多くの人に勧めることが出来るのに…と思うと、ジレンマが生じそうです。(笑)
珠玉の恋愛ストーリーです。自信を持ってお勧めします。
(レビュー日:2006-06-28)