アンジェの逝去によって、いやおうなく「死」を意識するトリエラ。
限られた命のなかで、少しでもトリエラに生きながらえてほしいと
願うヒルシャー。
『GUNSLINGER GIRL』の登場人物、とくにフラテッロという関係に
おかれている人物たちのなかでも、トリエラとヒルシャーの関係は
少し複雑だ。
互いを仕事の道具(と無私で仕えるパートナー)としてのみ見てい
るわけではないが、特別な感情があるのかどうか、よくわからない。
それは第三者視点から見てわからないだけではなく、本人たちにも、
どうすればよいか戸惑いがあるためだろう。ヒルシャーにとっての
過去、トリエラにとっての条件付けが、それぞれの感情を縛ってい
る……。
そんなふたりだけど、今巻をもって少し素直になれたのかな、と思
う。過去や条件付けとは関係なく、相手の今を受け入れたい。傷を
負ったヒルシャーに対してとったトリエラの行動が、すべてを物語
っているように思う。
義体と担当官という以上の感情をもつことによって、いずれおとず
れる「死」の悲しみは倍加するだろう。義体の悲しみの根源は、義
体としてしか生きれないことへのあきらめから来るものだった。た
だし、それは周囲にとっての悲しみであり、義体にとっては当然の
こと。
トリエラとヒルシャーをまつ運命は、けっして易しいものではない
はずだ。それでも、互いを大切な人として受け入れることで、ふた
りがともに生きたことは、確かな意味をもつだろう。そうであるこ
とを切に願う。
(レビュー日:2008-10-28)