蟹工船と党生活者の2本立てです。
蟹工船は劣悪な環境下で自然発生的にストライキが起こる様を描いた小説(実話?)です。
決まった主人公がいないため、話が散漫となるところもありましたが、
人間の感情のうねりを感じ取ることが出来ました。
現在の「日雇い労働者」や「派遣労働者」と照らし合わせてマスコミが
騒いでいたので手にとってみましたが、蟹工船ほどではないな、と思いました。
本では、労働者は人間らしい扱いが全く無く、まさに資産階級の奴隷のような存在。
しかし、現在はまがりなりにも肉体的・精神的な自由はあり、
そこまでの劣悪な条件下ではない、自由を享受している上での甘えなのでは?と。
這い上がることが出来る時代なのに、それだけの努力をしようとしない、
現代人の甘えを戒める、そんな読後の感想を持ちました。
党生活者はしっかりとした主人公「私」がいます。
共産党の支持者であった著者、小林多喜二の実体験を基に描かれているのでしょう。
当時の思想のあり方を垣間見ることが出来ます。
母とのやり取りや同士一人一人の性格の違いなど、
人間の心の機微を描いている秀作と感じました。
今、労働組合の形骸化・労使協調などが日本の会社に見られますが、
そんなことを微塵にも感じさせない、ブルジョワジーvsプロレタリアートを
まざまざと見せ付けられる一冊、読んで損は無いと思います。
(レビュー日:2008-10-12)