私は謎や驚異に満ちた物語が好きで、魔女のような超能力を持つ人の話も好きなのですが、こういう切り口でこられると本当に降参してしまいます。いわゆるSFとかファンタジーとか頭でこね回したような作品はいろいろありますが、この本にはそういうものが一切ありません。
不思議も謎も全部地に足がついている。
なんせおばあちゃんの元で、まいがする魔女修行っていうのが「なんでも自分で決める」「意志を強く持つ」この二つなのですから。そして具体的な修行といえば、午前は家事のエクササイズ、午後は勉強を自分で予定を立ててすること。なんですからねえ。
そして、まいが挫けそうになったり、心を乱されたりしたとき、おばあちゃんは愛情いっぱいで、まいを包んでくれる。
本を読んでいる私にまでおばあちゃんの愛情が伝わってくる。
おばあちゃんの言葉、行動、ちょっとした時に見せる仕草、そんな一つ一つが心を軽くノックしていきます。
「おばあちゃん、大好き」
「アイノウ」
英国人のおばあちゃんの一言が、まいの疲れてささくれ立った気持ちをゆっくりほぐしてくれます。
読みながら薄い文庫でしたので、終わらないで欲しいなあ、なんて思いながらページを繰ってました。
そしてラスト・・・。
いきなり急襲されました。
あのメッセージ・・・。
涙が溢れてとまりませんでした。
梨木さんの今まで読んできた作品はどこか現実味にとぼしく、そこがまた好きなところだったのですが、こういう風にやられるとは、思いませんでした。
超自然の力、それは、こんなにも身近に存在し、こんなにも愛しいものだったのか。
とにかく読んで欲しい。
そう感じた1冊でした。
(レビュー日:2008-12-23)