数学の授業で、先生がこの事について雑談していたのがきっかけで調べてみると、フェルマーの最終定理関連の本の中で、本書が群を抜いて、あまりにも評価が高かったので衝動買い。読んでみるとページを捲る手が止まりませんでした。数学苦手で文系な自分が、「理系にしとけばよかった」と惑わされるほどの面白さでした。今まで数学なんて、となめていた自分が恥ずかしいです。無機質で機械的に思われた数学の世界が、ドラマチックに、情緒的に描かれていて、フェルマーの最終定理にかける人々の想いが非常に詳しく脈々と書かれています。何人もの天才がこの天才がこの定理に挑み、あと一歩のところで崩れていった。そしてこの問題を最終的に解いたのは、世紀の天才でも、選りすぐりの数学者集団もなく、その瞬間を子供のころから夢見てきた、たった一人の数学者だった。その影には、妻、仲間の存在などが絡み、そして、日本の3人の数学者によって発見された理論が鍵を握っていた・・・。
特筆すべきは、
ほとんどの人がこの命題を理解できるのに、その証明を理解できる数学者は1割にも満たないと言われるフェルマーの最終定理を中学卒業程度の知識で概略を理解できるという点、
数学者が論理というものにどれほど懸けているかを、読者の考えを改めさせられるほどに書かれている点、
女性数学者や当時辺境だった日本の数学者に対して平等にページを割ってある点、
次代の数学への課題や近年の証明の傾向に対する警鐘を鳴らすことを忘れていない点、
作者なりのわかりやすい比喩表、章始めにテーマとなる他書からの抜粋がある点、
読者を真に理解させるため簡単な証明を補遺にいくつか掲示している点、
パズルの難しい解法を論理的に、多くの人にわかってもらえるよう情熱的に書かれている点、そして何より作者自身がこの難題に対して初心者であった点だと思います。
本書を目にして書を手に取っていないなら人生を無駄に過ごしていると言っても過言でもない程の仕上がりです。
ぜひぜひ手に取って読んでみてください。
(レビュー日:2008-11-02)