人は、理屈ではなく、感情で動く。
だからこそ、感情への働きかけは、行動を生み、行動を変える。
しかし一方、例えばレア・ミディアム・ウェルダンといった火の通し具合があるように、
個々人によって、〈好み−加減〉というものがある。
したがって、記憶への「焼きつけ=Stick」においても、程度問題を見落とすことはできないのである。
本書では、六つの原則の頭文字からとった「SUCCESs」というフレームワークを提唱しているが、
他者の観点からすれば、全体として「他者の感情への働きかけ方」ということになるであろう。
そこで肝心なのが、このフレームワークを使用する者の「使用意図」についてである。
これは、解説で勝間さんが言われるほど、単に"優れたフレームワーク"というだけでは済まされないのだ。
この本では、「意味の拡張」という概念を用いているが、
「焼きつけ」のしすぎは、思わぬ効果を生みかねないのだから。
ややもすると、感情への訴求が"他者への配慮"をゆうに越えてしまい、
"心理操作"と受け取られる可能性を否定しきれないのである。
本書が、
「読者(他者)に"とって"有用なフレームワーク」を提供しているのであれば、多くに受け入れられるであろうが、
「読者(他者)に"対して"有用なフレームワーク」との解釈をされたならば、時にしっぺ返しを食うことも・・・
肉も魚もサツマイモも、焼きすぎれば口にするのを拒みたくなるし、
何よりどんなに素材が上等でも、"味"(←使用者への評価も含む)は確実に落ちるというもの。
本書は、良くも悪くも"火力十分"につき、
どうぞ、「焼きつけ」が「焦げつき」になりませぬよう・・・
(レビュー日:2008-11-24)